曇りの日の物置。現状渡しで売るか決めかねている山あいの実家の物置で、引き戸を開けた奥の板壁に、親が庭の手入れに使っていた古い鍬が柄を下にして立て掛けられたまま残り、秋分の昼の曇り空のやわらかな光が入口から差し込んで、刃の土の跡と使い込まれた木の柄に当たっている

親が施設に入居したあとや亡くなったあと、誰も住まなくなった実家をどうするか、考え始めていないでしょうか。

売るにしても、何から手を付ければいいのか迷っている方も多いはずです。遠方に住んでいると、現地に何度も行けないことも気がかりです。

読み終えるころには、最初に何を確かめて、どこに相談すればいいかが決まります。

遠方からでも実家の売却は進められる、先に確かめるのは名義と相続登記

晴れの日の家の前の道路。売却前の境界の立ち会いを控えた山あいの実家で、家の前の舗装道路と庭の境目の土に打たれた古いコンクリートの境界杭が、赤い塗料の跡を残して少しのぞき、秋分の朝の晴れた低い光が杭の頭と周りの短い草に当たって、奥にはぼけた瓦屋根とモルタルの壁の平屋が見えている

「実家に何度も帰れないのに、売る話を進められるのだろうか?」

そう迷って調べ始めた方も多いのではないでしょうか。最初に確かめるのは、家の名義が誰になっているかです。

親が亡くなって名義が親のままなら、先に相続登記(家の名義を亡くなった人から相続人へ変える手続き)が要ります。相続登記は令和6年4月1日から義務になり、相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります(法務省)。

実家の売却の流れと期間、名義の確認から引き渡しまで

名義が誰かを確かめたら、売却は次の順に進みます。

  1. 名義を確かめ、親のままなら相続登記を済ませる
  2. 不動産会社に家を見てもらい、いくらで売れそうかを聞く
  3. 媒介契約(不動産会社に家の売却を頼むときに結ぶ約束)を結ぶ
  4. 買い手と売買契約を結ぶ
  5. 代金を受け取り、家を引き渡す

売り出してから買い手が見つかるまでの期間は、家の場所や状態によって変わります。区切りの目安になるのは、媒介契約の期間。

1社だけに売却を頼む専任媒介契約の有効期間は、3か月を超えられないと宅地建物取引業法で定められています(e-Gov法令検索)。国の契約のひな形である標準媒介契約約款も、この範囲で期間を決めるとしています(令和4年5月改正時点、国土交通省)。

現地に行かずに進められることと、立ち会いが要る場面

売却の流れのうち、多くは離れたままでも進められます。専任媒介契約では、不動産会社が売れ行きなどを2週間に1回以上報告することが、宅地建物取引業法で定められています(e-Gov法令検索)。報告の方法は、標準媒介契約約款で文書か電子メールから選ぶ形です(令和4年5月改正時点、国土交通省)。

一方で、現地に行く場面になりやすいのが、家の中を確かめる日や引き渡しの日。

場面 離れたまま進めるための工夫
売却の相談 電話やメールで始める
家の中を見てもらう 鍵の預け方を会社と決める
売れ行きの確認 文書かメールで報告を受ける
契約と引き渡し 立ち会いが要るかを先に聞く

つまり、どこまで離れて進められるかを最初の相談で確かめておけば、現地に行く日をなるべく同じ日にまとめられます。会社によって進め方が違うため、依頼する前に聞いておくと、帰る日の予定を立てやすくなります。

実家を片付けてから売るか、現状渡しで売るか

「片付けのために何度も帰るのは難しい……」

そう感じている方もいるのではないでしょうか。現地に行く日が増えやすいのは、家の中の片付けです。片付けてから売る方法と、現状渡し(家の中の物や傷みを直さず、今のままの状態で引き渡すこと)で売る方法があり、どちらにするかは比べてから決めても遅くはありません。

比べること 片付けてから売る 現状渡しで売る
現地に行く回数 片付けの分だけ増える 少なくできる
片付けの手配 自分で業者を探す 買い手と話して決める
向いている人 何度か帰省できる人 現地に通えない人

つまり、片付けを始める前に、今のままで引き取ってもらえるかを聞いておくと、手間を比べて選べます。

残したい写真や書類があれば、売る前にそれだけ選んでおくと、今のままで引き渡しても手元に残せます。弊社が家ごと買い取る場合は、家に残った家具や荷物もそのままお引き取りいたします。

よくある質問(FAQ)

Q. 相続登記が済む前に、いくらで売れそうかだけ見てもらえますか?

名義の確認と並行して、いくらで売れそうかを見てもらうことはできます。売買契約や引き渡しの前に名義をどう整えるかは、不動産会社や司法書士に相談することが可能です。

Q. 兄弟で相続した実家でも、遠方から売却を進められますか?

進められます。名義人が複数いるときは、全員が売ることに合意していなければなりません。誰がどの手続きを担うかは、早めに話し合っておくと進めやすくなります。

Q. 実家を売ったとき、税金が軽くなる特例はありますか?

親が一人で住んでいた家を相続して売ると、売って得た利益(譲渡所得)から最高3,000万円まで差し引ける、被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例があります(相続人が3人以上なら2,000万円まで、令和8年4月1日現在、国税庁)。使えるかどうかは条件によって変わり、税理士や税務署で聞くことが可能です。

遠方から実家の売却を考え始めたら、最初に相談すること

名義の確認から引き渡しまでの順番が見えて、どこから手を付けるか決まってきた方もいるのではないでしょうか。最初の一歩は、次の順で進めます。

  1. 家の名義が誰になっているかを確かめる
  2. 今の家の状態を見てもらい、いくらで売れそうかを聞く
  3. 現地に行く日と、離れて進める手続きを会社と分ける

名義がまだ分からない段階でも、遠方にお住まいのまま、ご相談をお受けしております。

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